現在、東京大学大学院に所属し、パーソナルジムを経営

筋トレ 論文 サイト #1:「低負荷 vs 高負荷」筋トレ効果の違い

低負荷vs高負荷

「筋トレで効果を出したいけれど、負荷は重い方がいいのか、軽くても良いのか…?」|筋トレ 論文 まとめ サイト

筋トレを頑張る中で、こんな疑問を感じたことはありませんか?

ジムに通う人も、自宅でトレーニングしている人も、
低負荷トレーニング高負荷トレーニングでは、筋力アップや筋肥大にどれほど違いがあるのか?」


最新の科学的なデータを論文から知って、もっと効率よく筋トレをしましょう。

目次

この記事・筋トレ 論文 からわかること

  • 「低負荷」と「高負荷」のトレーニングで、筋力・筋肥大にどのような違いがあるのか
  • 最新の論文から分かる現在の考え方
  • 目的別(筋力アップ・筋肥大)におすすめのトレーニング方法
  • トレーニングレベル別(初心者・中級者・上級者)の負荷の選び方

紹介する論文

Schoenfeld, B. J., Grgic, J., Ogborn, D., & Krieger, J. W. (2017). Strength and Hypertrophy Adaptations Between Low- vs. High-Load Resistance Training: A Systematic Review and Meta-analysis. Journal of strength and conditioning research31(12), 3508–3523. https://doi.org/10.1519/JSC.0000000000002200

筋肥大したい猫

筋トレで効果を出すには、やっぱり重い重量でトレーニングしないといけないのかな?

三谷

「高負荷トレーニングが効果的だ」というのは、これまでの常識でした。イメージ通り、海外ではヘビーウエイト信者も多いです。一方で、最近の研究では、低負荷トレーニングでも筋肥大が可能だと示されつつあります。今回はそのような文献の代表例をご紹介します。

2017年に筋トレのメタアナリシスで有名なSchoenfeld先生の書いた論文です。

研究手法

この研究では、筋トレの負荷(高負荷 vs 低負荷)が筋力向上や筋肥大に与える影響を明らかにするために、メタアナリシスという方法を用いました。

メタアナリシスとは?

筋トレに関する研究は、世界中でたくさん行われています。
でも、それぞれの研究で結果が微妙に違ったり、方法が異なったりして、「本当のところどうなの?」と思うこともありますよね。

そこで登場するのが、「メタアナリシス」という方法です。
これは、複数の研究結果をまとめて分析する手法です。

メタアナリシス概念
meta-analysis

例えば

「高負荷トレーニングと低負荷トレーニング、それぞれの効果を調べた研究が10本あったとします。」

その10本のデータを一つにまとめて、統計的に整理することで、より信頼できる結論を導き出します。

筋肥大したい猫

要するに、「たくさんの研究を束ねて、真実を浮き彫りにする方法」ってことだね。

論文収集の条件

メタアナリシスでは、まずはじめに集めてくる論文の条件を設定します。

  • 低負荷(60%1RM以下)と高負荷(60%1RMより大きい)、両方の負荷設定でトレーニングを実施している論文
  • どちらの負荷条件でも限界まで反復している論文
  • 筋肉量もしくは筋力向上を評価できる指標を報告している論文
  • トレーニングを6週間以上実施している論文
  • 対象者が疾患や怪我をしていない

このメタアナリシスでは、

PubMed/MEDLINE, Cochrane Library, Scopusという文献検索サイトから論文を検索しています。

論文精査と統計解析

続いて、集めてきた論文を読んで、本当に集めてくる条件と一致しているのかを調べます。

その後、集めた論文から筋力、筋量のデータを抽出し、効果量という指標に変換して統合します。

少し難しい話になりますので、ここでは、集めてきた論文から「どのくらい筋力UPしたか」「どのくらい筋肥大したか」をそれぞれ数値にして統合したと捉えていただけると良いです。

結果・考察

論文精査の結果、21件の論文が採用されました。

筋力:高負荷が効果的

メタアナリシスの結果、筋力アップには高負荷トレーニングがより効果的であることが示されました。
具体的には、高負荷(60%RMより大きい)を使用したトレーニングでは、低負荷(60%RM以下)と比較して、1RMの向上が有意に高い結果となっています。

この理由として、以下の点が挙げられます

高負荷では、より多くの運動単位が動員され、神経適応が促進される

筋肥大:低負荷でも効果がある

一方で、筋肥大(筋肉のサイズアップ)については、高負荷と低負荷の間に有意な差は見られず、低負荷でも効果があることがわかりました。

しかし、ここで注意しておきたいことは、論文を収集する条件として、限界まで反復を行っていたということです。

考察としては:

筋肉の成長においては、**筋肉の疲労(メカニカルテンション)**が重要な要素であり、負荷の大小よりも筋肉を限界まで使い切ることが重要ということです。

初心者や関節に負担をかけたくない方にとって、低負荷トレーニングが実行しやすい選択肢であることが示されています。

注意して読む点

この論文を読んで解釈するにあたって、以下の点に注意する必要があると考えました。

高負荷と低負荷、それぞれのトレーニング効果を引き出すには条件が異なる

高負荷トレーニングは、筋力を最大限向上させたい場合に有効です。ただし、正しいフォームで行わないと怪我のリスクが高まるため、注意が必要です。

一方で、低負荷トレーニングでも筋肥大は可能ですが、限界まで反復することが必要であるとこの論文からは読み取れます。

三谷

筋肉の成長や筋力アップには、限界まで反復することが重要と言われています。これは、速筋線維を多く含む大きな運動単位を動員することが重要だと言いかえることができます。この原則は、高負荷でも低負荷でも共通しています。


安全性の確保が必要である

初心者や関節に負担をかけたくない方には、低負荷トレーニングが適しています。一方で、低負荷で限界まで反復することは思った以上にきついため、計画的に行う必要があります。

上級者が筋力を伸ばしたい場合は、高負荷トレーニングを選ぶ方が良さそうです。しかし、無理をしすぎると関節や筋肉を傷めるリスクがあります。正しいフォームを意識し、適切な重量を選ぶことが不可欠です。

低負荷vs高負荷

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この記事を書いた人

鳥取県出身
阪大理学部生物科学科を卒業後
東大で筋トレ研究(現在博士課程)
パーソナルジム「Connect Base」を経営

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